令和2年6月8日 山形市・山形交響楽団 共同記者会見

ページ番号1002049  更新日 令和3年9月30日

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写真:共同記者会見の様子1

写真:共同記者会見の様子2

出席者

市長、山形交響楽団常任指揮者 阪 哲朗氏、公益社団法人山形交響楽協会理事長 園部 稔氏、同協会専務理事 西濱 秀樹氏

内容

発表事項

  • ガバメントクラウドファンディング(※)による寄附募集の開始について
    「プロジェクト名:山形市×山響 音楽でまちを元気に 山形交響楽団の支援を通じて「明日」のまちを一緒につくりませんか」

(※ガバメントクラウドファンディングは、株式会社トラストバンクの登録商標です。)

会見内容

映像

内容要旨(※要点筆記としておりますので、あらかじめご了承ください。)

広報課長
はじめに、山形交響楽団側の出席者をご紹介いたします。
山形交響楽団 常任指揮者 阪 哲朗様です。
公益社団法人山形交響楽協会 理事長 園部 稔様です。
同じく、山形交響楽協会専務理事兼事務局長の西濱 秀樹様です。

佐藤市長
それでは、ガバメントクラウドファンディングの開始について、発表いたします。
山形交響楽団の支援を通じ、音楽でまちを元気にすることを目的としたガバメントクラウドファンディングを6月10日から開始いたします。
プロジェクト名は、「山形市×山響 音楽でまちを元気に 山形交響楽団の支援を通じて「明日」のまちを一緒につくりませんか」です。
長年、地域に音楽による潤いを与え続け、幅広い世代から愛され、全国からも評価の高いプロオーケストラである「山形交響楽団」は、新型コロナウイルス感染症対策による活動自粛により、3月から公演のキャンセルが相次ぎ、4月以降、オーケストラ演奏活動が行えず、収入も激減している状況であります。
こうした中、山形市は、山形交響楽団の支援を通じ、「音楽で明日のまちを元気に」という想いを一緒に叶えるため、ガバメントクラウドファンディングを実施します。
音楽でまちを元気にする主な取り組みにつきましては、街なかに華やかに響く演奏会や、飲食店とタイアップした演奏付きの食事会、他の山形市の文化の担い手との共演、さらにはこのたびのガバメントクラウドファンディングを記念したコンサートの開催など、プロが奏でる音楽と、山形市のまちの魅力をかけ合わせた企画を予定しております。
ふるさと納税のスキームを活用することで、寄附控除が受けられるとともに、山形交響楽団に関連するものに加え、山形牛やシャインマスカットなど山形らしい、充実した返礼品を選んでいただけます。
また、ふるさと納税の仕組み上、山形市民の皆様は返礼品の対象とはなりませんので、市民の皆様には、山形交響楽団が心を込めて作成する、このプロジェクトオリジナルのお礼状をお送りします。
お手続きに関しましては、ふるさと納税「ふるさとチョイス」の専用サイトからの申し込みに加え、現金での寄附をお受け付けすることも可能です。
さらに、ガバメントクラウドファンディングに加え、企業版ふるさと納税の仕組みを活用した企業からの寄附も募る予定です。市外の事業者を対象に、山形市の東京事務所、山形応援団、そして山形交響楽団のネットワークも加えながら、積極的にお声がけをしていきたいと考えています。
皆様もご承知のことと思いますが、東北においてプロオーケストラがしっかりとした形で存在するのは、山形市と仙台市のみです。そうした中で、全国的に見ても、25万人という都市規模の中で、これだけクオリティの高いオーケストラを擁するということは、大変貴重なことであります。山形交響楽団は、間もなく50周年を迎えますが、これも、長年にわたりまして、市民の皆様が様々な形で山形交響楽団を支え続けてきたその結果に他なりません。
今、新型コロナウイルス感染症という未曽有の危機の中で、これからも、山形市において山形交響楽団が素晴らしいプロオーケストラとして活動し、そして、市民の皆様が、子どもたちが身近なところで素晴らしい音楽文化を享受できる、そんな山形市でありたいと考えております。ぜひ、多くの市民の皆様、また、県内、県外、全国の皆様からご支援をいただいて、この素晴らしい文化を維持、更に発展していきたいと思っております。
山形交響楽団の皆様も、市民の皆様の想いに精いっぱい応えていただけるものと確信しております。どうか皆様、あたたかいご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

山形交響楽団常任指揮者 阪 哲朗氏(以下「阪指揮者」と表記)
3月14日、私たちは、本拠地山形テルサで、無観客ライブに挑みました。私にとっても、楽団員にとっても、初めての経験でした。全身全霊でチャイコフスキー、シューマンの名曲の演奏を終えた時、拍手はありませんでした。山響は、皆様の応援の賜物として、常に満席の山形テルサで定期演奏会を開催しています。しかし、そこには、いつも笑顔で拍手を贈ってくれるお客様の姿はありません。お客様のいない舞台がいかに空虚なものであるかを、痛烈に実感した瞬間でした。私たちは、常に人の心を結ぶために演奏していること、この活動が人間社会を人間たらしめていることを皆様と共有できているのではないかと思っております。
コロナへと向き合う社会の中で、私たちは舞台での活動を中止しました。しかし、音楽活動をやめたわけではありません。ネット環境を活かし、自宅からの配信、オンラインレッスンによる後進の指導、過去の映像を配信することで、少しでも子どもたちや家族での時間が楽しいものになるようにと、一体となって歩みを続けてきたのです。
この未曽有の危機の中で、新たな可能性も生まれています。私たちの配信動画は、10万人以上の国内外の皆様に視聴していただきました。演奏へのエールと共に、全国各地から寄附が寄せられ、既にその額は700万円を超えています。山響への共感の輪が、この危機の中でどんどん広がっていることに胸を打たれています。
私たちに何ができるかを、今後全力で追及してまいります。ネットの力をフルに活用し、私たちの音楽と共に、山形の食や観光、技術の魅力を世界に発信できることがわかりました。活動再開の折には、商店街などのまちなかでも音楽を奏で、皆さんの心に灯りをともすことができるでしょう。
さらに、新たなチャレンジとして、今年生誕250年のベートーベンの交響曲を特別な形で山形の皆さんに届けることができないだろうかと、今回のプロジェクトをきっかけに、山形から発信する夢を皆さんと叶えていきたいと思っております。

公益社団法人山形交響楽協会理事長 園部 稔氏(以下「園部理事長」と表記)
日頃より皆様からは、山形交響楽団に対しまして、温かいご支援をいただきまして感謝を申し上げます。
今日この場で、山形市の佐藤市長とともに、「山形市×山響 音楽でまちを元気に」というプロジェクトを皆様にお伝えできること、本当に山形市をはじめ、山形市民の皆様に心より感謝を込めて、御礼を申し上げます。
山形交響楽団は、4月以降、楽団員全員での演奏活動を中止しておりまして、これまで18本の一般公演と、35本のスクールコンサート並びに東京・大阪の公演等が中止になりました。一部は延期公演も検討しておりますが、先の見えない状況の中で、演奏再開までの道のりはまさに不透明でありまして、その損失は今後も増大すると予想しております。
現在は、長期借入金の確保によって資金繰りを行いながら、楽団運営を維持している状況でございます。山響は年間予算が5億円でございまして、45名の演奏家と12名の事務局員を雇用することで、年間150回以上のオーケストラ公演と、100本前後のアンサンブル公演を実施して、多くの皆様の心に活力を与え、社会を活性化していく使命を担っているという風に考えております。
しかし、現時点ですでに1億円の収入見込みが消失しております。まさに、楽団は危機的な状況にあります。国全体として、活動再開に向けた段階的な緩和が行われていても、フルメンバーでの演奏、さらにはお客さんを前にしてのコンサートは、感染対策の中で減席制限が多く、暗中模索の状況が続いております。
なんとかして第一歩を踏み出したいという思いから、このたびのクラウドファンディング開始日の6月10日からリハーサルを再開し、今週の13日土曜日と、来週の21日日曜日に無観客のライブ配信を計画しております。このライブ配信の中で、広く県内外に山響の魅力とともに、山形の魅力を発信していきたいと思っております。また、今後活動が再開できるようになった際には、まちなかの活性化に向けたさまざまな活動を展開していきたいと思っております。
ヨーロッパでは、都市の文化を測る指標は、いい大学があること、そしてサッカーチーム、そしてプロオーケストラの存在と言われております。全国でも数少ないこの3つがある山形市とともに、文化による活性化に貢献して、皆様の応援にお応えしたいという思いを新たにしております。
今回クラウドファンディングでご支援いただくことに、改めて感謝申し上げますとともに、皆様のご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。

読売新聞
山形市にお尋ねします。今回のこの募集金額の7,500万円は、オールインワン方式であり、達成しなくても寄付金額の全額が得られるということでよろしいでしょうか。

佐藤市長
はい、達成しなくても全額寄附が入ることとなります。

読売新聞
寄付の金額は、いくらからでも寄付ができるという理解でよろしいですか。また、市の方に直接現金を持っていけるということで、そのあたりはいかがでしょうか。

企画調整部長
金額は、クラウドファンディングの場合「いくらからでも受け付け」ております。
(※後に、「ふるさと納税サイトを通じての寄附申し込みの場合については、2,000円以上からの受け付けとなる」と追加訂正しました。)

読売新聞
募集額7,500万円のうち、返礼品代や事務手数料などは、どのくらいかかると見込んでいますか。

企画調整部長
返礼品代と事務経費等々は、だいたい3分の1程度を見込んでおります。

読売新聞
9月7日までだいたい90日間という期間中、市や山響の方でのPR方法について、どのように広く周知するよう考えていらっしゃいますか。

佐藤市長
市での広報について申し上げますと、市のホームページや市報、Facebookなどさまざまございますので、それらすべて取り組みます。さらに、さまざまな方面、例えば先ほど申し上げた企業版ふるさと納税です。これは市外の企業向けですが、山形応援団のような首都圏を中心とした山形にご縁のある企業の集まりもございます。いろいろな方法を使ってPRしていきたいと思います。また、市民の皆さんもそうした意味で営業マンになっていただいて、市民の皆さんにもご寄付もお願いしたいですが、併せてPRもしていただけるよう、お願いしたいと思っております。

公益社団法人山形交響楽協会専務理事兼事務局長 西濱 秀樹氏(以下「西濱専務」と表記)
まず今回のガバメントクラウドファンディングについて、非常にありがたく思っております。PR方法につきましては、我々としましても、ツイッターやFacebookなどSNSをフル活用します。最も重要なのは、山形市の皆さんと作り上げた共感の輪であるということです。これをメンバーの声、ファンの皆さんの声、そういったものとともに、SNSなどでダイナミックにお届けすることで、その輪を広げていきたいと考えております。
もう一つ我々の強みとしては、発信力というのがございます。今回の13日のライブ配信であるとか、21日に予定しているライブ配信、そういった中で、山響の演奏と山形のさまざまな魅力、例えば山寺や果樹園、山形市から離れますが天童、上山、東根であったりといろいろな県内の魅力というのがあるわけです。そういった魅力を届けていく中で、この山形市の皆さんとの取り組みを、自然な物語として流しながら共感を広げて行く、そのようなPRを考えております。
県人会や東京、県外で活躍しておられる方々へ呼び掛けていただく山形市の東京事務所など、いろいろな方々のお力をお借りしますが、我々としても東京・大阪公演を毎年行っていますので、その独自のネットワークなども活用して行きたいと考えております。

朝日新聞
募集金額の7,500万円は、どういった計算で算出されたものになりますか。

佐藤市長
現在の山形交響楽団さんの状況を踏まえております。この金額自体チャレンジングな金額だというふうに思っておりますが、やはり現在の新型コロナウイルスの大変な状況を考えますと、目標をしっかり高くして、それを何とか達成したいというような思いでこのような額になっております。

朝日新聞
事務的経費の3分の1を除いたものの使い道というのは、音楽でまちを元気にする主な取り組みとは違う取り組みになりますか。

企画調整部長
寄付の使い道としては、実際状況が良くなった時のイベント関係の経費にも充てていただくという前提ではおります。
しかしながら、一番大きなことは山響さんが今危機的な状況にあるということになります。その運営をきちんと支えるため、この寄付を活用いただき、楽団として存続するというところに一番お役立ていただければという趣旨でございます。

朝日新聞
ふるさとチョイスの中に設ける専用ページは、今回のために新しく設けられるものでしょうか。

企画調整部長
今回新しく設けるページでございます。

NHK
返礼品の山響関連グッズというは、山響CD、演奏会招待券になりますか。

企画調整部長
そのとおりでございます。

NHK
返礼品として市内の親子に演奏会招待券プレゼントとありますが、返礼品はふるさと納税の仕組み上山形市民の方は受け取れないと記載されています。どう理解すればいいのか整理させてください。

企画調整部長
先ほどの説明どおり、ふるさと納税の仕組み上、山形市民の方には返礼品はお出しできません。しかしながら、市外の方について、今は特に首都圏からの県境を跨いだ移動は自粛をいただいている状況もございます。返礼品の形として、市外の方から市内の方へのプレゼントというものもご活用いただければと思っております。コロナウイルスの状況が変わりましたら、今後予定しているコンサート等を観に、山形市においでいただければと思っております。

日本経済新聞
今までの山形市と山形交響楽団の関わりについて、年間いくらの補助金を出してるなどはありますでしょうか。

佐藤市長
山形交響楽団に対しては、市から毎年支援をしております。

日本経済新聞
金額はいくらになりますか。

企画調整部長
運営補助ということで、最近は4,000万円を補助させていただいております。

日本経済新聞
山響さんの運営としては、市の補助を受けながら、演奏収入を中心として5億円を原資に運営なさってるということですか。また、コロナウイルスの状況が影響されて、公演キャンセル等による収入減で非常に厳しい状況であるという理解でよろしいですか。

西濱専務
年間予算5億円のうち、我々の事業収入比率というのは、65%から70%に到達しております。これに加え、山形市の皆さんからの4,000万円や、県や国からの補助金などで賄っているということです。
プロ楽団としては、現状37団体が日本オーケストラ連盟に登録されています。その中では、自治体からご支援いただいている楽団も複数ございますが、山響は、事業収入の比率が極めて高い部類に入っております。このため、年間150回のオーケストラ公演に加え、先ほど市長からもお話がありました支援にとどまらず、山形市内の小中学校の子どもたちにスクールコンサート、学校公演で聞いていただく、そういった授業などを通じて事業を成立させています。
山形市の山形テルサは、日本を代表するクラシックホールだと感じておりますが、そちらを本拠地にしながら、我々の活動を展開し、事業収入もしっかりと得ている状況でございます。

日本経済新聞
市内にとどまらず、全国においていろんな形で演奏され、収入を得られていらっしゃったという話は聞いております。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、現在そういった事業が全て出来なくなっているため、経営面が非常に厳しい状況になっているという理解でよろしいですか。

西濱専務
そうです。先ほど申し上げましたけれども、現在18本から20本の公演がキャンセルになっており、それ以外の秋以降の公演にも、どんどん中止の波が続いております。
我々が創立以来最も重視してきた、山形の教育文化の魅力であるスクールコンサートも、もう既に35本から40本、今年度の半数に及ぶ数が中止となっております。
収入ももちろんですが、我々の音楽活動、演奏を聴いていただく方々に対してそれを届けられないという思いも強くあります。先ほど阪指揮者が申し上げたような、お客様に向き合えないということは、我々にとって一番大きな喪失感であります。

日本経済新聞
阪指揮者は長年ヨーロッパで活躍されましたが、現状ヨーロッパの楽団は、どうやって存続されているのでしょうか。もっと自治体から補助があったりするものなのですか。

阪指揮者
自治体の補助の割合は、ドイツなど街によっても違いますが、かなり高いです。また、ヨーロッパと申しましても、国によって違い、オーストリアのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は2日ほど前に活動を再開しましたし、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は7月いっぱい、フル編成のオーケストラが、室内においてソーシャルディスタンスをとらずに演奏できないなど、環境もいろいろ違う状況ですが、共通して予算に対する補助の基本的な割合が全然違うと思います。ヨーロッパの方は、もともと伯爵の持ち物であったオーケストラ、劇場を、現在の州であったり政府であったりがもっています。ところが、日本の場合はそうでないため、どうしても補助というものよりも、実際に活動していく上で、チケットを売って得る実収入の割合が高いので、演奏できないとなると、収入に対する直撃度合が全然違う気がします。

西濱専務
私から一言追加させていただきます。
山形市の皆さんと一緒にこういった取り組みができるということは、私どもにとって、本当に何よりもありがたい、感謝の気持ちを込めてこの場におります。この寄付を受けた際、我々の運営で、この楽団を50年、100年と存続させ、山形の文化の礎にしていくというのが一番ではあります。しかしながら、我々にできることというのは何だろうといいますと、街のにぎわいを生み出していくことであると思っております。今いろんな形で萎縮しているような状況、例えば観光であったり飲食であったり、我々と同様、いろんな方々が本当に苦しい中にいらっしゃいます。例えば街中でのコンサートで、山響が再び可能な限りのにぎわいをつくれることができればと思っております。これは例になりますが、以前、ある老人福祉施設の夏祭りは、毎年だいたい20人、30人のお客さんでした。その後、山響のメンバーが演奏するようになって、それが130人とか150人になったという事例もございます。オーケストラには、そういう人を惹きつける魅力があります。そういった形で、まちの方々と山響が頑張ることによって、まちが活気、活力を取り戻していくような事業を展開していきたいと思っております。それも今回のガバメントクラウドファンディングの中で我々が担いたい点の一つです。我々オーケストラは、単独で存続しているわけではありません。街の方々、都市、いろんな方々に育まれてここにいるということを前面に、皆さんに打ち出していきたいと思っております。ライブ配信の中で山形の魅力をどんどん世界中に発信することで、共感の輪を広げていければと考えております。

山形新聞
確認として、今まで中止、延期になった公演はいくつになりますか。

西濱専務
日々刻々と増えており、現状でだいたい58公演とみていただければと思います。ただ、今日事務所に帰ったら60公演になっていたということも十分あり得ます。

山形新聞
その収入減が全部で1億円ということですか。

西濱専務
それについても日々刻々と変わっていきますが、現状試算したところでいうと、本日6月8日時点ではだいたい1億円ぐらいです。

山形新聞
6月13日、21日にライブ配信され、徐々に活動を再開されるかと思いますが、7月以降は状況を見てということですか。また、実際のコンサートをいつできるかということもまだ決まっていない状況ですか。

西濱専務
我々もいろんな形でメンバーの安全、お客様の安全、また、ライブ配信を観ていただく方々の安心感というのを作っていかないといけません。闇雲にやるのではなく、13日のライブ配信では金管チーム、木管チーム、弦楽器チームの3つに分けて、曲目を大幅に変更し、阪指揮者の指揮で取り組むわけです。21日には、更にそれをフルオーケストラのベートーヴェン等に持っていけないかと、活動再開を少しずつステップアップ、段階・階段を登るように進めていければと思っております。できれば7月などに、若干でもお客様にお入りいただいた公演ができないだろうかという点を模索しているところです。

朝日新聞
佐藤市長に伺います。佐藤市長個人にとって山響というのはどういった存在なのかを教えてください。

佐藤市長
山形市におきまして、音楽文化の一つの核であり、極めて大切な存在であると思っております。山形市は、ユネスコ創造都市ネットワークにも加盟した、文化を大切にするまちでありますので、これからも市民の皆さんの支えのもと、この山形交響楽団にも存続していただき、そして素晴らしい文化を継承して、市民の皆様の心に潤いを与えていただきたいと願っております。
この度も市民の皆さんにはぜひ支援をお願いしたいという気持ちでおります。

西濱専務
今のご質問に絡めるわけではないんですが、阪指揮者はご両親が山形の出身で、ルーツが山形にあります。常任指揮者 阪 哲朗にとっての山形市への想いも語っていただきます。

阪指揮者
両親が山形で、当然祖父母も山形であります。今とは全然違いますが、50年前、子供の頃の山形の印象というのは、自身は京都育ちなので、とにかく気候から言葉から、今以上にカルチャーの違いがありました。また、学校を卒業してから2017年までずっとヨーロッパに拠点をおいてましたので、まさか、子供の頃にいろんな人にかわいがられた、祖父母のいた街である山形で指揮棒を振ることになるとはと。山響は自分が子どもの頃からありまして、時期が合えば行けるのにということも何回もあったものの、その当時、村川先生の指揮を観るチャンスはありませんでした。その後プロの指揮者となって、昔キャッチボールをしたり、虫採りをしたり、馬見ヶ崎川の河原に行ったりした山形で、自分の芸術活動をできるこの喜びというのは、本当に何物にも代えがたいと思っております。それが偶然なのか、何かのご縁としか本当に言えないのですが、そういったことで今があります。
また、山形では、曽祖父が山形に初めて、ある新聞社の配達所をつくったり、祖母が北高の音楽科を作るため、同窓会長として募金を今回のように募ったりということをしたことがあります。今度は、自分が何を山形にできるかというところです。
ドイツでのかなり苦い経験から、ずっと山形にいるわけではない私たちが「自分たちのオーケストラが潰れそうだからなんとかしてくれ」とお願いすることがいかに難しいかをわかっています。それをちょっとでも、この郷土のためであるとか、ドイツから見たとか、そういう視点から自分なりに行っていければと思っています。みんなの仕事がなくなっている中で、「お前たちだけが生き残りたいからそう言ってるんじゃないか」という気持ちもあるところを、みんなの力で盛り立てるというのが文化芸術の一番のポイントだと思うんです。ですから、音楽家だけでなくみんな困ってる中、自分たちは「こんな時に音楽やってていいんだろうか」、「何もできない」、「社会を回すことに参加しちゃいけない」というジレンマみたいなものもある中で、とにかくなんとかしましょうと市長が言ってくださったこと、そしてこのような活動に、それも山形のために参加できるということは、とてもありがたいと思っております。
これについて自分はどういうことができるかというと、音楽家は良い演奏することに尽きるのですが、やっぱり指揮者というのはそれだけではありません。それをどういう風に、具体的に実現させるかというのがゲストの指揮者と専属の指揮者の違いだと思っております。ゲストの指揮者は良い音楽だけに集中していればいいのですが、専属の指揮者、監督、常任指揮者というポストを持ってる人間は、その街のためにどんなこと、何ができるかというところが重要なんです。ドイツで音楽監督をさせてもらったその経験をどこかで活かすことができればと、今これから、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

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