森林環境譲与税の使途の公表について
平成31年4月に森林経営管理法が施行され、その財源となる森林環境税および森林環境譲与税が創設されました。山形市にも令和元年度から森林環境譲与税が国より譲与されています。その使途について、創設の経緯を踏まえて説明します。
1 森林整備の必要性
森林を整備することは、地球温暖化防止のみならず、国土の保全や水源のかん養、地方創生や快適な生活環境の創出などにつながり、その効果は広く国民一人一人が恩恵を受けるものです。
しかしながら、森林整備を進めるにあたっては、所有者の経営意欲の低下や所有者不明の森林の増加、境界未確定の森林の存在や担い手の不足等が大きな課題となっています。パリ協定の枠組みの下で自国の温室効果ガス排出削減目標を達成し、大規模な土砂崩れや洪水・浸水といった都市部の住民にも被害が及び得る災害から国民を守るためには、こうした課題に的確に対応し、森林資源の適切な管理を推進することが必要です。
山形市では、持続可能な開発目標(SDGs:エスディージーズ)達成に向けて、森林の持続可能な経営に取り組み、環境・経済・社会の諸課題の解決に貢献してまいります。
SDGsとは…
グローバル経済の下、一国の経済危機が他国に連鎖するのと同様、気候変動、自然災害、感染症といった課題も連鎖して発生し、経済成長や社会問題にも様々に影響していくといった複合的な問題に対して、世界全体で取り組む必要があるとの考えから示された世界全体の目標です。
17の目標、169のターゲットから構成され、経済、社会及び環境の三側面を不可分なものとして調和させ、持続可能な世界を実現するための統合的取組です。
2 森林環境税と森林環境譲与税
平成31年4月から森林経営管理法が施行され、森林所有者自らが森林の経営管理を実行できない場合、市町村が森林の経営管理の委託を受けることができる森林経営管理制度が創設されました。これを踏まえ、市町村が実施する森林整備等に必要な財源に充てるための森林環境税および森林環境譲与税が創設されました。
森林環境税
森林環境税は、令和6(2024)年度から個人住民税均等割の枠組みを活用して、国税として1人年額1,000円を市町村が賦課徴収することとされています。その税収は、森林の持つ公益的機能の維持・増進を図るための森林整備や、木材利用の促進、人材育成・担い手の確保、林業の普及啓発等に活用するため、全額が森林環境譲与税として全国の都道府県・市町村に譲与されています。
森林環境譲与税
森林環境譲与税については、法令上使途を定め、市町村は森林の間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備およびその促進に関する費用に、都道府県は市町村が行う森林整備に対して支援等を行う費用に充てなければならないとされています。譲与時期については森林環境税と異なり、森林現場における諸課題にできるだけ早期に対応する必要があるため、森林管理制度の施行とあわせ、令和元年度から譲与されています。
森林環境譲与税は、私有林人工林面積(55%)、林業就業者数(20%)、人口(25%)により按分し譲与されており、本市の収入は次のとおりです。
- 令和元年度 15,783千円
- 令和2年度~令和3年度 33,538千円
- 令和4年度~令和5年度 43,402千円
- 令和6年度~ 52,946千円(見込み)
3 山形市の森林環境譲与税の使途
山形市においては、平成31年3月に森林環境譲与税を財源とした山形市森林経営管理推進基金を創設しました。今後は、基金を財源とし、森林経営管理制度を活用した森林整備を進めるとともに木材の利用促進等に取り組んでいきます。
森林経営管理推進基金(単位:円)
年度 | 譲与額 | 事業費 | 利子等 | 年度末積立額 |
---|---|---|---|---|
令和元年度 |
15,783,000 |
2,570,707 |
0 |
13,212,293 |
令和2年度 |
33,538,000 |
4,778,886 |
1,019 |
41,972,426 |
令和3年度 |
33,376,000 |
23,981,998 |
837 |
51,367,265 |
令和4年度 | 43,791,000 |
88,158,676 |
1,025 |
7,000,614 |
令和5年度 | 43,791,000 |
43,696,838 |
796,537 |
7,891,313 |
これまでの使途の詳細については、下記のページをご覧ください。
4 取組内容(令和5年度)
1 森林経営管理制度への取り組み(33,212千円)
(この事業が貢献するSDGsの目標)
(1)大曽根地区(優先順位2位)及び新山地区(優先順位4位)の森林境界確認及び経営管理権集積計画作成
大曽根地区・新山地区において、令和4年度の意向調査結果に基づき面的なまとまり等を考慮して経営管理権集積計画策定候補森林を選定し、隣接地との合意形成を図るため、UAV等のリモートセンシング技術を活用した森林境界確認を行った。また、林業経営に適した森林(経済林)か、適さない森林(環境林)か、又はお預かりしない森林かのゾーニングを行い、所有者の同意を得て経営管理権集積計画を作成した。
(2)モデル地区(不動沢流域)の森林整備等
上宝沢地区不動沢流域で市がお預かりした森林のうち再委託できなかった森林について、集運材作業を実施した。また、令和4年度に経営管理権を取得した不動沢流域以外の上宝沢地区において、林業経営に適さない森林(環境林)の管理計画を作成した。
(3)山形地方森林林業活性化協議会の取組み
令和3年度までに上宝沢モデル地区での取組みを終え、本格的な森林経営管理事業の推進に向けて、山形地方森林組合と組合が管轄する2市2町からなる「山形地方森林林業活性化協議会」を設置した。市は協議会に負担金を支出し、協議会はこれを活用して森林経営管理制度の取組推進や、森林・林業への理解を深めるための普及啓発活動等の取組みを行うこととし、令和5年度は東沢(妙見寺)・山寺(千手院)地区の意向調査のほか、チェンソー講習会等を実施した。
(4)意向調査の実施
優先順位3位の東沢(妙見寺)・優先順位6位の山寺(千手院)地区において、私有林人工林227haの森林所有者204名に対し、経営管理の意向に関する調査を実施した。調査は、所有山林の経営管理の現況、経営管理の見通し、その他参考となるべき事項について記載した書面により行い、150名から回答を得た。また、約84%に当たる126名が「市に経営や管理を委ねることについて検討したい」と回答した。この結果を踏まえ、今後、市に委託意向があると回答した森林所有者の林地を図面に反映させ、面的なまとまり等を考慮し、経営管理権集積計画作成候補森林を選定した上で、当該森林の現況調査や境界確認を行い、経営管理権の取得に向けて進めていく。
(5)クラウド型森林GISの利用
森林経営管理制度を円滑に実施するため、クラウド型森林GISにより森林の土地の所有者情報や境界明確化情報を管理し、業務の効率化を図っている。令和3年度は、航空写真、地番図データの追加及び地番検索機能の新規設定のシステム改修を行った。
2 市産材利用拡大への取り組み(10,485千円)
(この事業が貢献するSDGsの目標)
(1)市産材ブランド化推進事業
山形市産材のブランド化を図り、市産材の利用拡大につなげるため、令和2年度に行政機関、林業・木材産業等関係団体による山形市産材ブランド化検討委員会を設置し、ブランド化に向けた意見交換を行った。また、こどもの頃から木を身近に感じ森林や木材利用に関心を持っていただくため、山形市産スギ材で作製した積木を1歳6か月児健診時に贈呈し、木育の推進と市産材の普及促進を図った。
(2)市産材オリンピックレガシー活用事業
東京オリンピック・パラリンピック大会施設の建築材として使用されたオリンピックレガシー材の有効活用と市産材普及啓発を図るため、木製ベンチを製作し、山形市役所税証明窓口の待合スペースに10基設置した。また、児童生徒や地域住民等と協働で植樹を行う「山形市植樹祭」で使用する木製ベンチをレガシー材で18基製作した。
(3)市産材利用拡大促進事業
市産材を使用した戸建て新築住宅への補助制度に、より多くの市産材を使用した場合のゼロカーボンシティ貢献枠を新設し、ゼロカーボンシティの実現に向けた意識啓発と市産材の利用拡大を図った。
(4)木質バイオマス需要拡大支援事業
新築住宅に薪ストーブ等を設置し、かつ、山形市が実施する補助事業(市産材利用拡大促進事業、省エネ健康促進住宅補助事業)に該当する場合、優先的にストーブ費用の一部を補助するゼロカーボンシティ貢献枠を新設し、ゼロカーボンシティ実現にむけた意識啓発と森林資源活用促進を図った。
3 過去の取り組み
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このページに関するお問い合わせ
農林部森林整備課林政係
〒990-8540 山形市旅篭町二丁目3番25号
電話番号:023-641-1212(代表)内線448
ファクス番号:023-624-8426
shinrin@city.yamagata-yamagata.lg.jp