市長のやまがた自慢「垂水遺跡」
山寺と言えば宝珠山立石寺(ほうじゅさんりっしゃくじ)がすぐに思い浮かびます。全国的に有名な観光地であり、近年は外国人観光客にも人気です。慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)による開山以来、山形が誇る精神文化を発信し続けています。
一方、表題にある垂水遺跡(たるみずいせき)をご存じでしょうか。こちらも山寺地区にあるのですが、初耳の方も多いと思います。場所は立石寺よりさらに奥に進み、最上三十三観音の二番札所でもある千手院の裏手にあります。
お堂の脇を通り、裏山をひたすら登っていくと、急に景色が変わり、驚くほど幻想的な風景が姿を現します。凝灰岩でできた白い岩肌に、蜂の巣状に穴が開いた巨石・巨岩が複雑に入り組んで並んでいるのです。そこには木製の鳥居や古峯(こぶはら)神社、稲荷神社などの小さな祠(ほこら)が点在し、えも言われぬ光景になっています。初めて行った方はまさか山形市にこんな場所があったのかと感動することでしょう。
かつて慈覚大師円仁もここで修業し、インスピレーションを得て山寺を東北における天台宗の布教の拠点に定めたともいわれます。実際、「円仁宿跡(えんにんしゅくあと)」という岩のくぼみも残されています。謎の部分も多いのですが、実際に行ってみると、神秘的な空気が充満しており、そうした言い伝えがあることも納得できます。
おそらくそれ以前から山岳信仰の拠点として存在したのだと思います。垂水遺跡のほか、烏帽子岩(えぼしいわ)、城岩七岩(しろいわなないわ)、修験場跡など、1時間半ほどで回ることができます。「パワースポット」という言葉がありますが、まさにこのような場所を言うのではないでしょうか。ぜひ一度足をお運びください(ある程度急な山道を登りますので、それを踏まえた装備でお願いします)。
(広報やまがた平成28年9月1日号掲載)
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