市長のやまがた自慢「宝積院の十一面観音立像」

ページ番号1005468  更新日 令和3年9月28日

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写真:像頭部
十一面観音立像

山形市内には各地区に寺院があり、数多くの仏像がありますが、その中でも国が重要文化財に指定している仏像はわずかに4体です。山寺・立石寺に伝わる2体と、出羽地区の吉祥院、そして金井地区鮨洗の宝積院に1体ずつ鎮座しています。

今回ご紹介するのは宝積院観音堂に祀られている「木造十一面観音立像」です。

この観音菩薩像は、平安時代前期に制作されたとされ、碁盤や将棋盤などの材料としても知られるカヤ(イチイ科)の木を削りだしたものです。像の高さは50cmほどで、左手に水瓶を持ち、右手は下げて掌を正面に向けています。この手の形は「与願印」といい、人々の願いを聞き入れ叶えようとする印相を示しています。身に着けている天衣などの形状は大阪や京都、奈良に伝わる9世紀ごろの菩薩像にも見られる優美なデザインで、近畿地方で制作されたものと推察されるそうです。

十一面観音という名のとおり、頭部に十一の顔を持っているのですが、宝積院の観音像は頭上の如来像(頂上如来)の部分が、頭だけでなく上半身まで作られており、これは全国的に見ても珍しいそうです。

実際に拝見しますと、極めて精巧な造りで観音様の表情が気品に満ちており、まさに匠の技です。往時の信仰の在りようを偲ばせる、素晴らしい仏像だと思います。

明治4年にここ宝積院に移される以前は、かつての山形城下の古刹「宝幢寺」(現在のもみじ公園にあった寺院です)に祀られていました。

御開帳は例年、元日と8月10日なのですが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で8月は見られないそうです。興味のある方は元日に初詣を兼ねてご覧になってはいかがでしょうか。

(広報やまがた令和2年8月1日号掲載)

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