新市民会館を解剖する

ページ番号1015726  更新日 令和7年2月26日

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創造性とにぎわいを育むBIG-TREE

BIG-TREE

 1本の大樹の周りには、多種多様な生物が集まり、連鎖し合って一つの生態系をつくり上げる。そのようなイメージの新市民会館のコンセプトは「BIG‐TREE」。
 生態系のように市民の文化活動が集まり、創造とにぎわいが育まれていく。そのコンセプトを基にどのように建物がつくられていく想定なのか、一つずつご紹介します。

文化芸術が盛んな山形市

 山形市には、映画や音楽のほか、演劇、美術、華道、茶道、伝統芸能など、先人から受け継がれてきた多彩で豊かな文化芸術が根付いています。
 2年に1度開催される「山形国際ドキュメンタリー映画祭」は、米国アカデミー賞公認の映画祭になるほど世界的に高い評価を得ています。山形交響楽団は52年もの長きにわたり活動している、東北で最も歴史のあるオーケストラです。そうした山形市に根付いている映画をはじめとした多彩な文化芸術がユネスコに認められ、ユネスコ創造都市ネットワークの映画分野において加盟が認定されました。
 さらに、50周年を迎えた児童劇団や設立40周年を迎え、140を超える団体が加入している市芸術文化協会などが活動しています。それらの団体が長年にわたり活動できているのは、拠点となる市民会館が活動を支えているからです。全国の同規模の文化施設と比較して利用率が高い市民会館は、年間で10万人以上が利用し、ホールの稼働率は65%を超えています。このことからも、山形市の文化活動が盛んであることが分かります。

分け隔てなく 誰もが利用できる場所に

 誰もが利用できる場所にするため、バリアフリー対応にも十分に配慮します。各階にはエレベーターで行くことができ、大ホールには車いす席や、小さなお子さんと一緒でも気兼ねなく鑑賞できるように個室の設置も計画しています。また、楽屋から舞台への動線の段差をなくし、車いすの方でも舞台に上がれるようにしています。
 今後もワークショップを開催するなど、多様な立場の方から意見を聞く機会を設けて、誰もが快適に過ごせる場所にしていきます。

山形市の気候への対応

 冬季の積雪や凍結への配慮が必要な山形市。屋根の勾配を施設の内側に向けることで、雪やつららの落下を防ぎます。施設上部に設置する樹木は、葉に積もった雪が落下しないよう、冬には葉が落ちる低木の落葉樹を採用します。また、施設の通行空間の多くはガラスで囲われている内部空間であり、風雪にさらされることはありません。
 選定された事業者グループには、山形の気候を熟知した市内企業が数多く含まれており、冬季の積雪などに配慮した施設設計や運営を行います。

まちにみどりをもたらす存在へ

 市が行ったアンケートでは、中心市街地にみどりが少ないと回答した割合が約60%。中心市街地にみどりが少ないことが課題となっています。
 まちなかのみどりは、居心地が良い空間となり、日常的に人が滞在する居場所となります。魅力的なみどりの空間は人々を引きつけ、にぎわいをもたらします。
 文翔館などの周辺のみどりとも調和を図り、新市民会館が市民の居場所に、市外の方にとって訪れたくなる観光スポットになることで、山形市の豊富な文化芸術との偶発的な出会いを生み出していきます。

 新市民会館を設計した平田 晃久さんが、設計の意図や思い描いている使われ方などを説明している動画をYouTubeで公開中です。1階から屋上にかけて館内ツアーのような説明で、新市民会館をイメージしやすい動画になっています。ぜひご覧ください。

設計者 平田 晃久 氏によるにぎわい創出の仕掛け

 平田 晃久さんは、伊東豊雄建築設計事務所勤務の後、2005年に平田晃久建築設計事務所を設立し、2015年から京都大学へ赴任。これまで、日本建築学会賞(太田市美術館・図書館)を受賞したり、海外で講演したりするなど多くの功績を残されています。
 今回の新市民会館の設計を担当する平田さんから、各フロアのコンセプトなどをご説明いただきました。

1階 誰もが気軽に立ち寄れる開放的な空間

 1階のパブリックスペースは、街路からの視線が抜け、誰もが気軽に立ち寄ることができる、開放的な木陰のような空間です。大開口を開け放つことで、まちと一体化した大型イベントも可能です。
 市役所前の大通りに面した大スタジオは、施設の外から観覧できる舞台としての利用も可能であり、文化芸術活動の熱が外ににぎわいとして伝わるように工夫していきたいと思っています。
 エントランスに入ると広がる木陰のような交流ラウンジでは、パブリックビューイングができたり、カフェがあったり、奥にスタジオがあったりと、さまざまな世代の人が思い思いの時間を過ごせるような場所です。また、3つの貸しスタジオはガラス張りの壁にし、中の雰囲気が見えることで、通りがかった人の興味を引きつけるような仕掛けにしています。

市民会館
まちと一体感をもたらす開かれた空間
大スタジオ
七日町通りに開かれた大スタジオ
ラウンジ
交流ラウンジ

2階 ドキュメンタリー映画に親しむ空間

 2階には山形ドキュメンタリーフィルムライブラリーがあります。山形国際ドキュメンタリー映画祭が開催される山形市にふさわしい、普段から映像文化に親しむ人々でにぎわう場所になると思います。

フィルムライブラリー

3階 重ね使いが可能な楽屋

 ホールの裏側にあることが多い楽屋を、ロビー側からもアクセスできるようにしています。
 楽屋を会議室や練習場所などにも活用できるようにすることで、より多くの人が訪れる機会をつくっています。

楽屋

4階 木の温もりと重厚感が両立する大ホール

 4階には大ホールのホワイエがあり、ここから大ホールの中に入っていきます。
 大ホールは、木の中の洞窟のようになっており、重厚感のある雰囲気が感じられます。

大ホール

8階(屋上) 見晴らしと憩いの屋上庭園

 市内の建物には珍しく、屋上も活用します。屋上に登ると、山形市を取り囲む山々が見渡すことができる場所になっています。市民の憩いの場となる芝生広場や屋外と連動したイベントが行える屋内空間もあります。

屋上庭園

新市民会館シンポジウム

 1月13日に、新市民会館に関するシンポジウムが開催されました。市民会館の大ホールで行われ、約400人が参加しました。
 設計者の平田さんをシンポジストに、新市民会館のコンセプトや設計の意図などを聞いて期待を膨らませました。

新市民会館ワークショップ

 2月8日に、中央公民館でワークショップを行いました。幅広い年代の参加者が、新市民会館をどのような場所にしたいかグループで意見を出し合い、新しい居場所への期待を寄せました。

シンポジウム

建築専門の月刊誌『新建築※』に掲載されました

 『新建築』は、1925年に創刊され、今年で創刊100周年を迎えた日本を代表する歴史ある建築専門誌です。創刊以来、日本の現代建築をクオリティーの高い写真や図面などで詳しく紹介している点が、支持されています。
 まだ完成していない施設のイメージパースが大々的に掲載されるのは珍しく、新市民会館が建築の面でも注目を集めているといえます。
※第百巻一号 2025年1月1日発行

新建築

選定事業者(BIG-TREEグループ)のインスタグラムでも、新市民会館整備に関する情報発信を行っています。

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〒990-8540 山形県山形市旅篭町二丁目3番25号
電話番号:023-641-1212(代表)