山形市の都市戦略

ページ番号1010583  更新日 令和4年12月23日

印刷大きな文字で印刷

市長

2大ビジョンを生かしたまちづくり

 今年、山形市は中核市として5年目を迎えます。これまで新型コロナウイルス感染症への対策を講じながら、2大ビジョン「健康医療先進都市」と「文化創造都市」確立の取り組みを進めてきました。

 今号では、新春特集として、山形市がその2大ビジョンを掲げる理由と今後のまちづくりの展望、そして新年の抱負について、佐藤市長へのインタビューをお届けします。
(インタビュアーはフリーアナウンサーの佐藤博子さんが担当しました)

佐藤 明けましておめでとうございます。令和5年のすがすがしい新年を迎えました。今年の干支(えと)はうさぎです。その跳んでいる姿から飛躍・向上を象徴するものとして親しまれてきました。チャレンジを続けている山形市にとりましても、飛躍の年になってほしいと思います。

 さて市長、まずは昨年を振り返って、どのような年だったかお聞かせください。

市長 明けましておめでとうございます。実は私もうさぎ年の年男ですので、今年もますます頑張りたいと思います。

 昨年は新型コロナウイルスが流行して3年目ということで、これまでとは非常に異なる状況になったと思っています。それは、ワクチン接種や基本的な感染対策をしながら、社会活動・経済活動を極力止めなかったということです。山形花笠まつりや日本一の芋煮会フェスティバルといった大規模イベントも従来に近い形で開催することができましたし、今後もこうした方向性で進んでいくと思います。

山形花笠まつり
▲3年ぶりに通常開催された山形花笠まつり

市長 一方で、多くの市有施設がオープンした年でもありました。市立商業高校の新校舎、南部児童遊戯施設「シェルターインクルーシブプレイス コパル」、あかねケ丘陸上競技場も「ネッツえがおフィールド」としてリニューアルオープンしました。加えて、山形市が村山地方の7つの市町に呼び掛けて整備した「山形広域炊飯施設」や、創造都市やまがたの拠点となる、「やまがたクリエイティブシティセンターQ1(キューイチ)」もオープンし、これまで計画・整備を続けてきた施設が一気に花開いた年となりました。市ではこれらを「戦略的拠点施設」と位置付け、それぞれの狙いをしっかり実現していきたいと考えています。

 また、山形市地域公共交通計画(※1)に基づき、身近な公共交通をさらに充実させる取り組みが動き始めました。5月からは市内のバスで交通系ICカード「ヤマコウチェリカ」が使えるようになりましたし、路線バスのない地域では、モデル事業として、地区ごとの移動ニーズに対応した新しいコミュニティ交通サービスの実証運行を始めています。さらに10月には、徒歩と公共交通の間を補完するものとして、コミュニティサイクル事業も開始しました。こうした取り組みを一層進めることで、過度な自家用車依存から公共交通へとシフトしていくことが、山形市を「持続可能なまち」にすると考えています。

※1山形市地域公共交通計画…令和3年策定。誰もが快適に移動できる環境を構築するために、おおむね15年後の山形市における公共交通ネットワークビジョンを掲げ、計画期間内(令和3~7年度)に取り組むことをまとめたもの。

コミュ二ティサイクル
▲山形駅西に設置されているコミュ二ティサイクル

市長 これまで、「健康医療先進都市」と「文化創造都市」という2つのビジョンを掲げ、長期の取り組みを続けてきました。今後もこのビジョンに基づいてさらなる施策展開を進めていきます。

このページの先頭へ戻る

なぜ山形市は「健康医療先進都市」と「文化創造都市」を目指すのか

佐藤 健康医療先進都市と文化創造都市の2大ビジョンに基づいてまちづくりを行う理由をお聞かせください。

市長 山形市には魅力的な地域資源が豊富にありますが、その強みが市民の方や対外的に知られていないと感じていました。その強みをもっと生かして、まちの活性化ができるのではないかという思いから生まれたのが、健康医療先進都市と文化創造都市というビジョンです。

 まず健康医療先進都市については、市内には多くの総合病院や地域の診療所が立地しています。さらには山形大学医学部の重粒子線がん治療施設(東日本重粒子センター)が本格稼働し、最先端医療を提供しています。これは素晴らしい強みです。全国的に、多くの地域でこれから医療環境が厳しくなるといわれるなか、医療と健康のまちというビジョンを戦略的に推進し、都市ブランドにしていきたいと考えています。

 そのためにも、中核市移行による保健所の設置は非常に大きかったです。市保健所に健康・医療に関わる専門の人材が集まり活躍することで、市民の皆さんの健康寿命を延ばす施策を科学的根拠をもって打ち出すことができました。また、市保健所は新型コロナへの対策でも力を発揮しています。感染症対策とともに、市民の健康づくりについても市保健所が中心となって取り組んでいく。そうした形で、健康医療先進都市の確立に向けた施策を進めていきます。

ビエンナーレ
▲すずらん街で開催された山形ビエンナーレ

市長 もう1つのビジョンが文化創造都市ですが、山形市は市民の皆さんの個々での文化・芸術活動が大変盛んで、文化的な基盤のあるまちだと思っています。加えて、昨年創立50周年という節目を迎えた山形交響楽団はますますブランド力を高めていますし、30年以上続く山形国際ドキュメンタリー映画祭は、息の長い活動のおかげで、世界に冠たる映画祭に育っています。また、昨年設立30周年を迎えた東北芸術工科大学の存在も貴重です。リノベーションまちづくりや山形ビエンナーレの開催、地元企業の商品の企画・デザインなどを通して積極的にまちづくりに関わっていただいており、大きな財産になっています。

 このほか、食文化や伝統工芸なども含め、かなり充実した文化芸術資産を有しています。そうしたベースをもっと表に出して市民の皆さんと共有し、それを強みとしてブランド化していく。それを文化創造都市というビジョンにして取り組んでいます。

 平成29年に山形市がユネスコ創造都市ネットワークに加盟認定されたのも、これまでの活動が国際的に認められてのことですし、この認定をきっかけに対外的にもPRを続けています。さらに昨年4月には、「山形市文化創造都市推進条例」を制定しました。これは文化創造都市としての理念を示した条例で、市民や事業者の皆さんとしっかり共有しながら進めていきます。

このページの先頭へ戻る

科学的分析から生まれたSUKSK生活

 

佐藤 山形市の強みを長期ビジョンとして掲げ、それを都市ブランドに育てあげるという戦略が分かりました。では、それぞれの具体的な取り組みについて伺います。

 まず、山形市の健康施策といえばやはり「SUKSK生活」ですね。これはだいぶ市民に浸透・定着してきているように感じますが、あらためて市民の健康寿命延伸のための取り組みについてお聞かせください。

佐藤アナ
▲インタビュアーの佐藤博子さん

市長 市民の健康寿命延伸のため、まず市保健所でデータを分析しました。その結果、市民の健康寿命を損なう三大原因として、認知症、運動器疾患、脳卒中が全体の80%を占めていました。これらを予防するために、食事(S)、運動(U)、休養(K)、社会(S)、禁煙・受動喫煙防止(K)、この5つのポイントに留意してバランスの良い生活を送ってもらうことが非常に重要だと考えています。

 また、市保健所にシンクタンク機能を設けて市民の健康に関するデータを科学的に分析し、政策的に取り組んでいくことが一番重要だと思っています。具体的な施策として、山形市民は塩分を取り過ぎる傾向があるため減塩事業を実施しましたし、高齢者のフレイル対策、腹部肥満や歯周病の予防にも取り組んでいます。

 こうした個々の事業も大事ですが、やはり基本は歩くということです。車社会というのは地方都市の特徴で、ついマイカーに頼ってしまいがちですが、1日8千歩~1万歩を歩くことが望ましいといわれており、日常的に歩く機会を増やしていくことが大事だと思っています。そのきっかけづくりとして最初に実施したのが、健康ポイント事業SUKSKです。歩いた歩数に応じてポイントがたまり、抽選で山形市の特産品などが当たるという、楽しみを組み込んだ取り組みを進めています。これはより多くの市民の皆さんから参加してもらいたいと思っています。

このページの先頭へ戻る

ウォーカブルなまちづくりで「歩くほど幸せになるまち」へ

佐藤 歩くことに力を入れているという点では、「ウオーカブルなまち」という言葉を耳にしています。このまちづくりについてお聞かせください。

市長 山形市は、国土交通省が進めるウオーカブルなまちづくりに賛同する「ウオーカブル推進都市」となっています。居心地が良くて歩きたくなる空間づくりを進めることで、個人の健康づくりや楽しみだけでなく、まちの賑(にぎ)わいも創出していきたいという狙いでさまざまな取り組みを進めています。また、昨年11月には、中心市街地グランドデザインを大きく改訂し、中心市街地活性化のコンセプトを「歩くほど幸せになるまち」としました。令和3年度から実施している社会実験では、中心市街地の歩道上に椅子やテーブルを設置し、ちょっとした休憩などができる取り組みをしています。多くの皆さんがくつろぎながらまちなかで過ごされ、非常に好評をいただきました。実験で見つかった課題を整理しながら、さらに戦略的に設置していきたいと考えています。

 また、山形市は雪が降るため冬の外出はおっくうになりがちですが、中心市街地の歩道はかなり消雪道路になってきていて、冬でも雪がない状態で歩くことができます。これからは意識して消雪歩道のネットワーク化を進め、快適に回遊できる歩道の整備を行っていきます。このように、さまざまな面で歩きたくなるような環境づくりをしっかり進めていきたいと思います。

このページの先頭へ戻る

歴史ある御殿堰

佐藤 消雪歩道が充実して、冬場でも歩いてまちを楽しめるようになれば、ますます賑わいが生まれる気がします。

 賑わいといえば、御殿堰周辺が賑わっていますね。まちなみが魅力的に変わってきていると感じています。

市長 御殿堰を生かして回遊性を高め、歩きたくなるまちづくりを進めています。七日町ルルタスの1階には生鮮食料品店が入居していますが、市民の方はもとより、観光客の方にも楽しんでいただいています。現在、水の町屋七日町御殿堰から国道112号を挟んだ西側で、民間ベースの再開発が進んでいます。ここを流れる御殿堰は現在ふた掛けされていますが、それを開渠(かいきょ)化し、その両側を快適に歩ける空間に整備します。さらに、大きなプロジェクトとして「七日町歴史と文化活用街区整備事業(粋七(いきなな)エリア整備事業)」を進めています。これは、御殿堰沿いに快適に歩ける小径(こみち)や広場を作り、歩きながらその両側に立ち並ぶお店も楽しめる空間に変えていこうというものです。「粋な町七日町(通称「粋七(いきなな)」)」をコンセプトとして、統一感のあるまちづくりを行い、エリアとしての魅力を高めていきます。この事業が完成すれば、山形の歴史的資産を生かした大変素晴らしいまちづくりができますし、家族連れや観光客など、多くの方に歩いてもらえるようになると考えています。御殿堰は、中心市街地を流れる歴史的にも重要な財産でありながら、なかなか活用が進みませんでした。石堤化や歩道の整備により、まちなかを歩く楽しみのひとつに変えていきたいと考えています。

七日町のまちづくりイメージ図
▲「粋な町七日町」のまちづくりイメージ図

佐藤 完成すれば、水の町屋七日町御殿堰周辺だけでなくもっと広範囲にまち歩きが楽しめるようになるのでしょうか。

市長 そうですね。御殿堰周辺のいわゆる料亭文化ゾーンをうまく生かして、蔵のある風景などを眺めながら気持ちよく歩ける空間を整備し、寺町から七日町、そして霞城公園まで、御殿堰周辺の回遊性を高めていきたいと考えています。

このページの先頭へ戻る

公共交通へのシフトで持続可能な山形市へ

佐藤 さらに公共交通が充実すれば、気軽にまちにやってきて、もっとまち歩きが楽しめると思うのですが、続いては公共交通に関する具体的な取り組みについてお聞かせください。

市長 取り組むべき大きな課題としては、過度な自家用車依存から公共交通へのシフトが挙げられます。高齢者が運転免許を返納したときの生活の足の確保といった問題に対し、公共交通を解決策の一つと考えています。

 市役所でも職員によるノーマイカー通勤に取り組んでおり、公共交通の利用を推奨しています。そうした取り組みが評価され、山形市役所(本庁舎)は「エコ通勤優良事業所認証」の認定・登録を受けました。

 地域公共交通計画の将来構想においては、地域のニーズに応じた新たなコミュニティ交通や、北くるりん・南くるりんの運行といった構想があります。また、将来的に山形駅と蔵王駅の中間ぐらいに新しい駅を整備し、鉄道という既存のインフラを生かしていきたいと考えています。

 公共交通の施策では、新たに交通結節点という考え方を取り入れました。例えば鉄道と路線バスの時間を連動させ、さらに乗り換えの待ち時間も快適に過ごせるような環境整備など、さまざまな交通の乗り換え場所となる施設を「交通結節点」として整備します。併せて、複数の交通サービスの予約・決済を一括でできるシステム、いわゆる「MaaS(マース)」の導入にも取り組みます。先のチェリカのサービス開始も、そうした取り組みのきっかけになると思います。

 公共交通が不便な地域では、バスやタクシーを活用した新しいコミュニティ交通のモデル事業を実施しています。現在、村木沢地区と金井地区で実証運行を行っており、今後、滝山地区と楯山地区でも実施予定です。地域と行政で試行錯誤しながら、成功事例は他の地域にも広げていきます。

このページの先頭へ戻る

創造都市やまがたの拠点施設「Q1」の持つ可能性

佐藤 次に、もう1つのビジョンである文化創造都市を都市ブランドにするための具体的な取り組みについてお聞きしたいと思います。

 昨年9月、創造都市やまがたの拠点施設となる、やまがたクリエイティブシティセンターQ1がオープンしました。旧一小の校舎を生かしたすてきな建物ですが、Q1が果たす役割と期待についてお聞かせください。
 

市長 山形市ではすでに市民レベルで活発な文化芸術活動が行われており、Q1はその活動をより多くの方へ発信していくためのシンボリックな活動拠点としてオープンしました。これまで文化に関する事業というと、予算がかかるだけというイメージがあったかと思いますが、私はちょっと違うと思っています。まさにユネスコ創造都市ネットワークの理念そのままなのですが、各地方都市で行われている個性的な文化芸術活動をより活発にすることで、経済の活性化や観光客の増加、最終的には雇用の増加や創出につなげていく、文化芸術活動が都市の経済を活発にして、持続的発展が可能なまちにしていく。山形市もこの理念と同じ方向を目指しています。Q1も、単なる展示や博物館的な施設ではなく、入居した人、訪れた人の化学変化と相乗効果により新しい価値を生み出していく、まさにそういう場にできればと思っています。

 入居者同士の活動、あるいは訪れた人との交流を活発にするためにマルシェなどのイベントも毎月開催していますし、施設内には、イベントにも使えるキッチンスタジオや、ミニシアター風の映画上映や映像配信ができるスペースもあります。アイデア次第でさまざまな活用ができますので、新しい価値を生み出す場所として、Q1から地域を元気にしていきたいと考えています。

マルシェ
▲マルシェ開催で賑わうQ1

佐藤 Q1のオープンに合わせて、昨年はやまがた秋の芸術祭が初開催されました。まちなかで気軽に文化や芸術に親しむことができるのはとてもすてきですし、何より人が行き交い、まちが活性化しますよね。

市長 Q1とともに、山形の文化芸術活動を市民の皆さんと共有し、さらに盛り上げていこうと始めたのがやまがた秋の芸術祭です。まちなかでアート作品の展示やコンサートを開催することで、文化芸術との偶然の出会いが生まれ、多くの方から山形市の文化芸術活動を知ってもらうきっかけになったと思います。

 秋に隔年で交互開催される、山形ビエンナーレと山形国際ドキュメンタリー映画祭と連動しながら開催し、全国各地あるいは世界中から訪れる方々にも山形市の文化芸術の魅力を楽しんでいただける、そんなまちにしていきたいです。ウオーカブルなまちという観点からも、まちを歩けば文化芸術と出会えるような環境をより多くつくっていきたいですね。

山形交響楽団による音楽会
▲やまがた秋の芸術祭(山形交響楽団による音楽会)

佐藤 やまがた秋の芸術祭も、まちなかの賑わいに欠かすことのできない取り組みになりそうです。

 中心市街地の活性化については、旧大沼や旧千歳館の利活用にも期待が高まります。また、新しい市民会館の建設も、中心市街地の活性化と市民の文化芸術活動を盛り上げていくための新たな起爆剤となりそうですね。

このページの先頭へ戻る

料亭文化でゾーンで回遊性のあるまちづくり

市長 いま挙げていただいた施設は、拠点施設として非常に重要なものと考えていて、まさに現在、これらをどうしていくか検討しています。旧大沼の再開発や旧千歳館の今後の利活用、また、新しい市民会館についても「歩くほど幸せになるまち」というコンセプトを反映していきます。

 旧大沼については、サウンディング型市場調査の結果を踏まえ、これから再開発のさまざまな要件を定めていきます。まちの回遊性や緑を増やし、休日に家族連れがベビーカーを押しながら楽しく快適に過ごせる、そうしたまちづくりのきっかけになると思っています。さらに商業機能としても、他にはないものを整備することで付加価値を高め、訪れたくなるまちにしていきたいです。

 旧千歳館は、山形市が譲渡を受け、いま利活用の検討を急ピッチで進めています。四季折々の美しさを見せる、料亭ならではの庭園はあまり見る機会がなかったと思います。今後は市の公園として整備し、自由に見てもらいたいと思っています。そして、文化財として非常に価値の高い旧千歳館の建物は、山形の芸妓・料亭文化を後世に伝えていくための施設として活用していきます。やまがた舞子をより身近に感じてもらうために、そこで演舞を鑑賞してもらうなどの仕組みも考えていきます。

千歳館
▲旧千歳館のライトアップ(令和4年11月)

市長 新しい市民会館は、文化創造都市として非常に重要な位置付けになっています。現市民会館の老朽化が進むなか、今後の市民の文化芸術活動の新たな拠点として、旧県民会館跡地への令和11年度開館を目指し整備を検討しているところです。市民会館に対するさまざまなニーズにしっかり応えるとともに、市民の方や観光客がくつろげる場所として賑わい創出にもつなげていきたいですね。市民会館は学校事業や地域の劇団の公演から、伝統的な古典芸能まで、ジャンルを問わず多種多様な活動ができる施設にしていきたいと考えています。

このページの先頭へ戻る

教育環境を充実し新しい学びを提供

佐藤 歩くほど幸せになるまち、そして文化と芸術の魅力を身近に感じながら楽しめるまち。聞いているだけでワクワクしてきました。

 昨年、多くの施設がオープンした中で、コパルや商業高校があり、子育てや教育の環境も充実してきていますね。

市長 市長就任以来、子育てや教育環境の充実を目指してきましたが、昨年はコパルや商業高校など、ハード面での充実が大きく進みました。小中学校のトイレの洋式化やエアコンの設置も進んでおり、今後もさらに教育環境を整えていきます。

 コパルは、北部にあるべにっこひろばのような施設を南部にも求められていたものですが、いま多くの皆さんから利用され大変賑わっています。加えてコパルは、「障がいの有無などにかかわらず、全てのお子さんが分け隔てなく一緒に遊ぶことができるインクルーシブな施設」をコンセプトにしています。これはとても大事なことで、今後の市のさまざまな児童福祉政策等に生かしていきたいと考えています。

 また、コパルは建築面でも非常に高い評価を受けています。特徴的な外観から中の造りに至るまで、インクルーシブという発想で貫かれており、2022年度グッドデザイン賞(グッドデザイン・ベスト100)、ウッドデザイン賞2022(優秀賞)、キッズデザイン賞(奨励賞)を受賞しています。全国から視察・取材依頼が殺到しており、こうした市の考え方を全国に発信するという意味でも非常に大きいものがありました。

 商業高校も非常に充実した設備が備わっています。一例として、食堂と図書館が一体化したラーニングコモンズは、昼は食堂として、授業中や放課後は読書や学習の場として使われるような、活用の幅が広いオープンな空間となっています。そのほか、最新のICT機能やナショナルトレーニングセンターと同レベルのトレーニングマシンの導入など、驚くほどハイスペックな機能が提供されています。

 今求められている教育の在り方というのは、自分自身で課題を発見して、その課題に対して自分で答えを見つけていく、探究的な教育だと思っています。そうした要求に応えるのが商業高校の充実した設備です。そして、教育の中身についても、単位制を導入するなどし、生徒が自分で学びたいことを選択できる形も始めています。

電子黒板
▲電子黒板を使った授業風景

市長 また、小中学校においてもICT教育を進めています。既に一人一台のタブレット端末を用意して学習に活用してもらっており、教育現場でも積極的な利活用を進めています。ICTはツールに過ぎず、その大きな目的の1つは「個別最適化された学び」です。個々の特性や学習進度に応じた教育ができるツールとして、このICT教育が生かされるものと考えています。電子黒板や、EdTech(エドテック ※2)と呼ばれる教育ソフトの導入を進め、今後も個々に最も適した学びの環境を整えていきます。教育現場の先生方と試行錯誤を重ねながら、しっかりと進めていきたいと考えています。

※2EdTech(エドテック)…Education(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、テクノロジーを用いて教育を支援する技術やサービスのこと。

このページの先頭へ戻る

「選ばれるまち」へ

佐藤 さて、ここまで健康医療先進都市と文化創造都市の両輪でのまちづくりの具体的な取り組みを伺い、2大ビジョンの確立に向けてさまざまな施策を展開していることが分かりました。では、その効果と今後のまちづくりの展望についてお聞かせいただけますでしょうか。

市長 山形市には、先ほど述べたように多くの誇るべき地域資産があります。今は行政としてその強みを生かす明確なビジョンを打ち出すことで、市民や企業の皆さんとの共有を進めている途中です。これをさらに浸透させていきたいと思っています。一方で、市民や企業の活動の中で、2つのビジョンに連動した独自の取り組みなども生まれてきており、非常に良い方向に向かっていると思っています。今後もこうした動きをさらに伸ばしていくことで、山形市が掲げる2大ビジョンが都市ブランド化し、これによって選ばれるまちに近づいていけるのではないかと思っています。今年もそうした形をさらに進めていきたいと思っています。

このページの先頭へ戻る

今年一年の抱負

佐藤 市長のお話を伺って、私自身、山形市民で良かったという思いが強くなりました。今日のお話のまとめを含めて、今年一年の抱負をお願いします。

市長 新型コロナ対策、また、物価高騰対策など、喫緊の課題にはしっかりと取り組みながら、健康医療先進都市と文化創造都市、この方向性さらに強力に推し進めていく一年にしたいと思っています。その中でも、公共交通の充実や中心市街地の活性化は大きな取り組みになりますし、そうしたところに力を入れながら、山形市が持っている地域資源を生かして、さらに元気になれるように頑張っていきたいと思います。

 鍵となるのは、市民の皆さんや企業の皆さんの活動です。行政だけでなく、市民の皆さんと共に、この2大ビジョンを目指して進んでいく、そのような一年になるよう、しっかりと頑張っていきたいと思います。

市長と佐藤アナウンサー

このページの先頭へ戻る

より良いウェブサイトにするために、ページのご感想をお聞かせください。

このページの内容はわかりやすかったですか?
このページは見つけやすかったですか?

このページに関するお問い合わせ

山形市役所
〒990-8540 山形県山形市旅篭町二丁目3番25号
電話番号:023-641-1212(代表)