一口健康メモ
逆流性食道炎と食生活
山形市立病院済生館消化器内科 阿部 泰明
食生活の変化やピロリ菌感染率の低下によって、逆流性食道炎の患者数は年々増加しています。症状は胸焼けや呑酸(どんさん)(胃酸が上がってくる)などの典型的なものから、慢性的な咳や胸痛などさまざまです。治療には胃酸分泌抑制薬を使用しますが、もちろん食生活の改善も重要です。
健康な方でも、ハンバーグやとんかつ、ケーキを食べた後に胸焼けを感じたことのある方は多いのではないでしょうか。これは脂肪分を摂取した時に分泌される〝コレシストキニン〟というホルモンが、胃の入り口を緩め胃内容物の逆流を起こしやすくするためです。アルコールや炭酸飲料、カフェインを含むコーヒーにも同様の作用があるとされ、1日にコーヒーを3杯以上飲む人は胃酸逆流を起こしやすい、という面白い研究報告もあります。胸焼けが気になる方は、これらの過剰摂取を避けましょう。
また、便秘や肥満、タバコにも注意が必要です。一見、逆流性食道炎と無関係に思えるタバコですが、過剰な胃酸分泌を促し、逆流した胃酸を中和してくれる唾液の分泌を抑えるため、禁煙も胸焼けの予防には重要です。
現在発売されている胃酸分泌抑制薬はどれも有効性が高いものばかりですが、薬に頼るだけではなく日常生活の見直しも非常に重要です。