山形市民のデータから見た新型コロナウイルス感染症第1-6波の分析
新型コロナウイルス感染症に感染した山形市民(第1波~第6波まで)の積極的疫学調査及び健康観察票の内容を分析することで、山形市の実情にあった対策について考察しました。
第82回(令和5年)日本公衆衛生学会総会で発表した内容を、抜粋してお知らせします。
対象者
山形市で第1波~第6波(2022年4月初旬)に確認された陽性者
結果
1 性・年齢・基礎疾患・ワクチン接種率
- 第1波を除き、陽性者の性別に偏りはみられなかった。
- 波ごとに感染主体の若年化の傾向にあった。
- 基礎疾患を持つ陽性者の割合は、波毎に大きな偏りは認めなかった。
- ワクチン接種率は第4波以降に増加した。
2 症状出現から検査受検までの期間・療養期間・療養場所
- 第3波以降は、症状出現から検査受検までの期間は1日となった(検査医療機関の拡充、民間検査機関との契約等による)
- 療養期間は、第4波以降は10日間となった。
- 療養場所は、第3波以降は自宅療養が主体となった(入院できる病床数の上限、宿泊療養場所の入所要件等)
3 家族内陽性者割合と属性
- 第1波~第5波と比較して、第6波では家族内陽性者の割合が増えた。
- 波ごとに属性の変化を認めた。第1波では、接客業、第6波では乳幼児・小学生が感染主体であった。
4 クラスター
- 第6波では、クラスター発生場所が保育施設中心となった。
5 陽性者の受検する契機となった症状(初発症状)
- 有症状者は第6波で多かった。
- 初発状況は波ごとの違いがあった(株の違いを反映)。
6 健康観察期間中に持続した症状
- 第1波を除き、健康観察期間中に持続した症状の全体頻度は、30~45%強であった(山形県で実施したアンケート調査では30%強)、第5波(デルタ株主体)では健康観察期間中に持続した症状が多かった。
- 第4波・第5波は味覚異常、嗅覚異常(健康観察期間中に出現)、第6波は上気道症状(咳、鼻閉・鼻汁など)が多かった(健康観察期間終了後も残存)。
7 ワクチン接種と死亡率
- ワクチン接種は、有意差*を持って、死亡率低下に影響した。
*有意差とは、統計学的に数値間の差が「たまたま起こった差では無く、意味の有る差」であることを指す。
まとめ
結語
分析を通じて、紋切型の対策だけでなく、地域の実情を反映した感染予防対策(山形市では、家族内・親族間の感染予防の対策に重点を置く対策)の必要性があることを痛感した。
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