まち歩きを楽しめる場所へ
御殿堰整備 中心市街地に新たなスポット
3月29日に、十一屋本店とオワゾブルー山形の間を流れる御殿堰の整備が完了しました。
道路を挟んで向かい側の「水の町屋 七日町御殿堰」と合わせて東西に延びる風情ある空間。これまでコンクリートで覆われ、見えなくなっていた堰を開け、歴史を感じる玉石積みの堰、冬でもそぞろ歩きができる無散水消雪機能を有した石張りの歩道を整備しました。御殿堰の周辺では、新たな空間を活用して、マルシェや音楽イベント等の開催が予定されています。
水の流れる音を聞きながら散歩をしたり、座ってお菓子を食べたり、憩いと癒やしの空間が誕生しました。

回遊性の高いまちづくり
七日町地区では、「粋な町七日町」をコンセプトに、風情ある空間を創り、中心市街地の回遊性の向上を目指した街区整備が進められています。
おしゃれな空間や趣のある空間は、観光客だけでなく、市民の方も「行ってみたい」と思える場所に。実際に、御殿堰で記念写真を撮る人や付近のお店で買い物をする人でにぎわい、中心市街地に訪れる人が増えています。
天気の良い日は、新たな整備が進む七日町を歩いてみませんか。
今後、旧大沼・済生館や旧千歳館、水の町屋 七日町御殿堰の上流部分も整備を進め、回遊性を高めていきます。
中心市街地を歩く
市では、中心市街地の魅力向上を図るため、中心市街地グランドデザインを掲げ、「歩くほど幸せになるまち」の実現に取り組んでいます。
「1日〇歩以上歩きましょう」とよくいわれるように、歩くことは、健康に過ごす上で必要であり、健康寿命の延伸につながります。
中心市街地には、五感で感じるすてきな体験の機会が溢れています。山形ならではの豊かな食文化を楽しめる飲食店。まちの歴史を色濃く感じられる建物や小径。御殿堰を流れる心地よい水のせせらぎ。歩くことで、今まで気付かなかったすてきな景色、思いがけない発見との出会いが生まれます。
今後も、中心市街地に魅力的なコンテンツをさらに充実させ、歩きたくなるまちづくりを推進していきます。
実は身近な場所を流れている山形五堰
山形五堰とは、笹堰、御殿堰、八ケ郷堰、宮町堰、双月堰の5つの「堰」の総称で、全長約115kmの農業用水路です。馬見ケ崎川(山形蔵王インターチェンジの上流部)から取水され西に向かって枝分かれを繰り返しながら市街地を流れていきます。
新しく整備された御殿堰に設置された看板に描かれているように、山形五堰は市街地を網の目のように流れ、皆さんが住んでいるすぐ近くにも流れています。
このような広範囲に広がる堰は全国でも珍しく、山形市の景観の特徴であり歴史的財産です。

昔、山形市の生活を支えていた
山形五堰の始まりは、元和9(1623)年に5日間降り続いた大雨によって発生した馬見ケ崎川の大洪水により、城下の広範囲で大きな被害を受けたことがきっかけです。その翌年寛永元(1624)年に、当時の山形城主鳥居忠政が、馬見ケ崎川の流れを変更する大工事に着手しました。この工事に合わせて、城下と周辺集落の農業用水と生活用水の確保、山形城濠の導水のために馬見ケ崎川に5つの取水口「堰」を設けたのが始まりとされています。令和6(2024)年はそれからちょうど400年になります。
明治・大正・昭和初期には、水流を動力とした水車業(製粉業・精米業)や養鯉、染物、鰻問屋、紙すきなどさまざまな産業にも活用され、ますます生活に欠かせないものとなっていきました。


世界かんがい施設遺産登録へ
山形五堰は、令和5年11月4日に世界かんがい施設遺産に登録されました。限られた流水を効率的に分配するための独特の方策や、地域の方が一体となって水源を守ってきた歴史があること、山形市のさまざまな産業の発展に貢献してきたことなどが評価されました。
世界かんがい施設遺産とは
国際かんがい排水委員会(本部:インド)が平成26年に創設した制度で、建設から100年以上が経過し、かんがい農業の発展に貢献したものなど、歴史的・技術的・社会的に価値のあるかんがい施設を認定・登録するものです。現在、世界19カ国の161施設が登録されており、うち国内では51施設、県内での登録は庄内町の北楯大堰に次いで2例目になります。

今では今の役割がある
歴史的背景を持つ山形五堰。 今では、水の町屋 七日町御殿堰や今回整備した御殿堰のように、歴史的建造物のような趣ある建物が建ち並び、柳の木の葉が生い茂り、玉石積みの堰が通る。その景観を生かしたまちづくりによって訪れる人が増え、中心市街地ににぎわいを創り出しています。
昔のような使われ方はされていませんが、山形市を活性化させる、今の役割があります。この機会に、見方を変えて山形五堰に訪れてみませんか。
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