文化

#14 映画とカフェ/
フォーラム&SLOW JAM

市民によって拓かれてきた、映画の街。

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#14 映画とカフェ/フォーラム&SLOW JAM

市民によって拓かれてきた、
映画の街。

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 【短編エッセイ #14 映画とカフェ/フォーラム&SLOW JAM】  

主人公に気持ちが重なって肩で風を切るように歩いた小道、ポップコーンを食べながらあの娘と見つめたスクリーン。だいぶ遠くなったあの頃の気持ちが甦ってくる。
同じ空間の中で、どよめき、笑い、涙する。ほかの誰かと感動を分かち合えるような気がする。だから私は映画館で映画を観るのが好きだ。

「山形では観られないだろうなぁ」と諦めていた作品がちょうどいま上映されていると聞き、はやる気持ちを抑え目指したのは歓楽街のはずれにある緑色の看板。「フォーラム山形」。
映画を愛する有志が集まり、市民からの出資を募って創業した日本初の映画館なのだが、大都市のミニシアターのように劇場の雰囲気に合わせて上映作品を線引きするのではなく、ロードショー系作品でも単館系作品でも、“どれも映画は映画である”という旨で偏りのない上映が特徴的だ。
「たとえばさっきまでフランスのレオス・カラックスの映画を観ていた人が、次に東宝の特撮を観てたりする。そんな線引きをしない映画の楽しみ方を、お客様から気付かされることもあります」と語るのは、現支配人の森合さん。

スタッフ全員がもれなく映画好きというだけあって、私の何気ない質問にも丁寧に答えてくれるから、親近感がわいてくる。知らなかった名作を教えてもらったりして、また来たくなる発見もある。

また、時流に合わせた企画上映や、映画をなかなか観に行けない地域の人たちのために、公民館や学校に映写機を持っていって上映会のサポート事業を行う「山形映画センター」も運営もしており、よりたくさんの人に良い映画を観てもらおうとする取り組みが独特だ。
それによって育まれた地域とのネットワークが行政と市民と映画人を繋ぎ、フォーラムという映画館を誕生させ、世界中から称賛される山形国際ドキュメンタリー映画祭を支える力へと、一筋に繋がっている。

そうした映像文化を育む環境が高く評価され、ユネスコ創造都市ネットワークへの映画分野での加盟が認定された山形市。これは映画部門では国内唯一で、山形という街を特色づける大きな財産だが、
映画を通じて各地域で様々な人との繋がりを育んできた「フォーラム」の存在は、そのひとつの礎なのだろう。

劇場を出て、壁面にダウンスポットされた上映パネルを見ながら歩いていくと、静かな通りのなか暖かな灯りで出迎えてくれるのは「シアターサイドカフェ SLOW JAM」。山形の旬の食材や手作りの加工品などを使って、その土地の背景がしっかり見える料理に世界中のレシピを取り込んだ一皿一皿はさながら「旅」を想起させる。
先ほど観た映画をモチーフにしたオリジナルドリンクがメニューに書かれてあったので、それを一杯やりながら山形の野菜を使った一品料理をつまむ。店内に響く歓談と食器の音が、映画の余韻に浸っている私の高揚感を冷めさせない。何の変哲もない休日の昼下がりは、私にとって記憶に残る至福の時間となった。

映画とカフェ/
フォーラム&SLOW JAM

住所:山形県山形市香澄町2-8-1 1F(フォーラム山形駐車場入り口脇)
お問合せ先:023-687-1320
駐車場:あり フォーラム駐車場 *フォーラムで映画を観られる方は4時間無料/SLOW JAMで800円以上の飲食をされた方は1時間無料
アクセス:【車】JR山形駅より車で約5分
【徒歩】JR山形駅より徒歩約10分

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〒990-8540 山形県山形市旅篭町二丁目3番25号 / 代表電話:023-641-1212
開庁時間:月曜日から金曜日の午前8時30分から午後5時15分 (祝日および12月29日から1月3日を除く)

※部署、施設によっては、開庁・開館の日・時間が異なるところがありますので、事前にご確認ください。
〒990-8540 山形県山形市旅篭町二丁目3番25号
代表電話:023-641-1212
開庁時間:月曜日から金曜日の午前8時30分から午後5時15分(祝日および12月29日から1月3日を除く)

※部署、施設によっては、開庁・開館の日・時間が異なるところがありますので、事前にご確認ください。
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