暮らし

#07 エコハウス

山に立ち返る、 
「未来の住宅」。

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#07 エコハウス

山に立ち返る、
「未来の住宅」。

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  【短編エッセイ #07 エコハウス】 

 脱炭素やカーボンニュートラルが叫ばれるなか、私たちが無理のない尺度でできることってなんだろう…?思惑にふけってみても、つまるところはエネルギーを浪費しないこと、すなわち省エネにいきつく。でも、いまの私たちの住まいは、たとえれば燃費の悪いクルマのようなもの。夏はクーラーなしでは眠れず、冬はヒーターを消せば底から冷え込み、軒下にはつららが垂れさがる。浪費し続けなければ快適を保てない現状なのだ。    

 そんな家とエネルギーの関係において、便利さをとるかエコロジーをとるかで板挟みされた我慢の省エネではなく、その両立をはかる新しい針路があるという。それが、徹底した断熱対策と自然素材、再生可能エネルギーを取り入れた省エネ住宅「ゼロエネルギーハウス」に住むという選択。
 「不便さ耐える昔ながらの暮らし=エコな暮らしというイメージを覆す、快適さを多くの人に知ってほしい」と語るのは、エネルギー研究者であり、やまがた自然エネルギーネットワーク代表でもある東北芸術工科大学教授の三浦秀一さん。  
 では、低炭素社会を実現する「未来の住宅」はいかなるものなのか。その実際を探ろうと、三浦さんが立ち上げに関わったモデルハウス『山形エコハウス』への一般見学と、氏の自邸を訪ねることに。

 目を引くのは、柱や内外装まで地場産の杉を使った開放的な吹き抜け空間。厚みを増した断熱材のおかげで、家全体の暖は、たとえ冬でも朝夕に焚く薪ストーブでほぼまかなえているという。また、輻射による風がないため乾燥もせず、床から天井まで室内は均一な暖かみに包まれている。先の“快適”の意味をいち早く実感したのは、ほかでもない私の肌だった。

 「ポイントは省エネと再生可能エネルギーです。大開口窓であっても、断熱性能の高い壁とトリプルガラスの木製サッシは、寒さ暑さを和らげてくれ、四季を無理なくすごせます。ちなみにわが家では、一般的な省エネ基準程度の家に住んでいた頃と比べ、暖房にかかるコストが3分の1になりました」  
 さらに、太陽光発電パネルや太陽熱温水器、都市ガス高効率給湯器、薪ストーブといった、再生可能エネルギーや木質バイオマスエネルギーを利用する設備で「ゼロエネルギー」を実現しているが、じつはここまでの設備がなくても、住宅の断熱性を高めるだけで、快適なエコハウスは実現できると三浦さんは語る。  
 いまの技術を取り入れつつ、自然に立ち返る暮らしをほんの少し引き戻した住まいづくり。先人が育んだ身近な森林資源への着目と木をエネルギーとする暮らしは、これからの普及型住宅の指針になるのかもしれない。  

 そしてなによりも、何気ない季節の移り変わりに潜む自然からの示唆をゆっくりと消化できる家は、きっとその人と周囲を多幸感で満たしてくれるのではないだろうか。

エコハウス

住所:山形県山形市上桜田3丁目2-37(山形エコハウス)
見学可能時間:10:00~16:00(日曜祝日、年末年始を除く)
お問合せ先:023-679-3340(NPO法人環境ネットやまがた)
アクセス:【車】JR山形駅から約15分。【バス】JR山形駅前より「T21 芸術工科大学」行きのバスに乗車(約18分)、「上桜田」バス停下車。徒歩約1分。

その他の暮らし

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〒990-8540 山形県山形市旅篭町二丁目3番25号 / 代表電話:023-641-1212
開庁時間:月曜日から金曜日の午前8時30分から午後5時15分 (祝日および12月29日から1月3日を除く)

※部署、施設によっては、開庁・開館の日・時間が異なるところがありますので、事前にご確認ください。
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