暮らし

#10 田んぼの温泉/百目鬼温泉 

類なき薬湯と景色が、
身近にある豊かさ。

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#10 田んぼの温泉/百目鬼温泉 

類なき薬湯と景色が、
身近にある豊かさ。

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【短編エッセイ #10 田んぼの温泉/百目鬼温泉】

ふと、道ばたの花を見て「美しい」と思う心は忘れたくないものだが、せわしい日々が続けばそんな心の余裕は薄れてくるものだ。
 日常生活を離れいつもと違う環境に身を置くことで、心や体の疲れが回復すると言われている。この気分転換を「転地効果」と言うらしい。だが日常を離れて…と言っても、そんな時間の余裕もない…。

 いや、待てよ。ここ山形はまさに温泉王国と謳われるほど、たくさんの温泉が点在しているんだし、身近にある温泉で非日常を感じることができたら、もっと手軽に転地効果を期待できるんじゃないだろうか…。

 青々とした稲が一面に広がる田園を抜けた先に見えてくる、もうもうと立つ湯けむり。蔵王連峰が一望できる露天風呂。豊富に湧き出す高濃度の塩泉はかなり効くよと友人にすすめられて以来、とっぷりとその魅力に浸かってしまったのがこの『百目鬼温泉』

 農業用の地下水を掘っていたところ偶然温泉が湧き出でたという珍しいエピソードをもち、“王国”山形のなかでも地元住民や観光客を問わず、広く親しまれる人気の日帰り温泉だ。

百目鬼、なんだか怖そうでインパクトのある名前だが、その由来を辿ると、江戸時代初期の検地帳に「土耳木」と記されているのが初めて文献に登場した際の地名だという。また、古くから水田が多く、自分の田んぼに水を多く引こうとする水泥棒をたくさんの人(百の目)が見張る場所だからとか、近くにある川や滝の音が轟(どめ)いて鬼の声に聞こえたからなど、諸説あるようで真相は謎なのだとか。
 さらにここは、戦国時代に起こった「関ヶ原の戦い」の地方戦の中心舞台で、最上義光軍と上杉の重鎮、直江兼続軍による激闘が繰り広げられた「長谷堂合戦」の跡地でもある。

 そんな由来は“ゆめのあと”というふうに、茜色に染まった田園と山のあいだには民家の明かりが点々と灯り、虫の音がサラウンドに響き渡ってきた。湯浴みをする人たちの和やかな話し声も湯気に包まれ消えていく。芯からあったまる湯に浸かり眺める空は、まるで子供の頃の夏休みにぼんやりと見たいつかの空みたいだ。
 私たちはしばしば、そこにあって当たり前と捉えている何かに癒されているものだが、私にとっての“道ばたの花”はやはり、温泉である。

田んぼの温泉/百目鬼温泉

住所:山形県山形市百目鬼42-1
お問合せ先:023-645-9033
営業時間:6:00-22:00(受付21:30まで)
定休日:第一月曜日
アクセス:【車】JR山形駅より車で約20分/山形自動車道 山形蔵王ICから車で約30分/東北中央自動車道 山形上山ICから車で約15分
【バス】JR山形駅前より「長谷堂南」 行きのバスに乗車(約15分)、「二位田(バス)」バス停下車。徒歩約10分。

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〒990-8540 山形県山形市旅篭町二丁目3番25号 / 代表電話:023-641-1212
開庁時間:月曜日から金曜日の午前8時30分から午後5時15分 (祝日および12月29日から1月3日を除く)

※部署、施設によっては、開庁・開館の日・時間が異なるところがありますので、事前にご確認ください。
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